子どもの安全対策
〜軽犯罪と略奪目的を冷静に分類し、息の長い対策を〜

 「子どもの安全をどうやって確保するか」子どもを狙った痛ましい事件が起こるたび、私たちに親につきつけられる難問です。一体いつのころから幼い子どもたちが、略奪目的の悪質な犯罪の対象にされるようになってしまったのでしょうか。一昔前の「児童や幼児の誘拐は身代金目当て」という認識が、今ではほとんど通じなくなってしまいました。

 一方で、幼児性愛者、変態などという言葉は、ロリコン、性的な嗜好となどと言い換えられ、あたかも市民権を得たように、おびただしい情報がインターネット上に流れています。世界的に児童ポルノに甘いとされてきた日本、このところ警察の摘発も続いてはいましたが、実は漫画やアニメなどは対象外。インターネット上DVDやアダルト画像ダウンロードの販売等の広告表現に至っては、実態は不明ですが中○生、小○生などとして日常的に使用されています。また、一般的な検索サイトから簡単なキーワードで、幼い子どもに対する目を疑うような情報に行き着きます。またそれらを検索するつもりがなくても、不意打ちに遭う可能性すらあるのです。当然ながらこれらを見るのに年齢確認はありませんし、あっても無意味でしょう。

 このように書くと、これらが犯罪に結びつくわけではない。あるいは、逆に抑止になっているというようなことを言う人がいます。そうでしょうか。デフォルメされた情報の洪水が、逆に偏った性的嗜好を生み、あるいは高揚させ、多くの略奪者予備軍をつくり、さらに一部では犯罪の動機付けになっているのではないでしょうか。それを昨今、より安易にしてしまったのがネットだと言えます。
 今回多くの新聞や雑誌に、「子どもの安全は親が守る時代」などと書かれています。親とは多くの場合母親を指すのでしょう。しかし、ワーキングマザーも増えている中で、果たして母親の努力で子どもを守りきることは出来るのでしょうか。

 子どもの安全対策は、親の努力や地域の方の善意に頼るだけではなく、略奪者予備軍を作らないための対策として、児童・幼児を対象とした性的な表現について、社会的に厳しく規制をする時期に来ているのではないでしょうか。また、連日のエスカレートする報道の傍らに、未だに17年も前に起きた幼女連続誘拐殺人事件の裁判の記事がある現実に、愕然とします。このような犯罪を起こした者に対して、長引くことなく厳罰に処される裁判制度の改革を期待せずにはいられません。

 いずれにしても、PTAなどによるパトロールや子どもの啓蒙などで回避すべき軽犯罪対策と、社会的な規制や摘発、制裁を含めた略奪目的の犯罪対策とにまずは分類し、子ども過度に管理するような対策に終始することなく、安全確保のルール作りが進むことを望みます。
(平野理華)



コラムトップへ



(C)2006 kosodate goods and life 無断転載・複製を禁じます。