子育て方針の
ジェネレーションギャップ
〜おばあちゃんの言葉に悩むお母さんへ

 お母さん同士でしゃべっていると、よく「うちのおばあちゃんがこんなこと言ったのよ〜」という話題になります。

 欲しいものを我慢させて忍耐力を養おうとすると、「お金がないわけじゃないのに、買ってあげなきゃかわいそうだ」。

 子どもの自立のためにお手伝いをさせようとすると、「主婦の仕事を子どもにさせて、楽しようとするなんて」。

 子ども会やPTAで役員を引き受けようとすると、「なにもそんな面倒なことしなくても、自分の子どもだけしっかりみなさい」。

「○○ちゃんのとこはもうおむつもとれてお喋りも上手なのに、うちの孫はまだおむつもとれない」、「日光浴をさせてカルシウムたっぷりの牛乳を飲ませなさい」・・・・。

 何気ない一言でも、責められてるような気がして、けっこうストレスを感じたりするんですよね。

 おばあちゃんといえば、孫には甘く、昔ながらの子育ての知恵の宝庫・・・っていうイメージがあるけれど、そういうおばあちゃんは伝統が根付く一部の地方か、80歳以上のひいばあちゃんの世代を指すのではないでしょうか。

 今どきのおばあちゃんは、昭和40年〜50年代に子育てをしています。

 産業構造の変化にともなって核家族化が進み、都会の団地や郊外のマイホームで、「スポック博士の育児書」を読んだりして、科学的で合理的な子育てをよしとしてきた世代です。企業戦士の夫と受験戦争の子どものために、専業主婦の自分が何でもしてあげなくちゃならないと信じてきた世代です。そんなおばあちゃんたちにしてみれば、私たちなんて子育て初心者。自分たちとは違うトレンドの育児は、危なっかしくて、見ていられないことも多いのでしょう。

 けれども、離乳の開始時期、卒乳やおむつはずれ、栄養、病気やケガの手当て・・・当時はそれが科学的に証明されていたことでも、足利事件の菅家さんのDNA鑑定みたいに、どんでん返しをくらっているのがいまの育児環境です。スポック博士ですら、最新版では子どもにタンパク質や乳製品はよくないことを認め、玄米菜食をすすめているんですよ。いまどきのお母さんの方が、自然に適った、ゆったりとおおらかな子育てをしているところがあります。

 孫かわいさで、良かれと思っているおばあちゃんに、「昔とは違うんですから構わないでください」とは言えないですよね。ここはひとつ、悪気はないと思って受け流し、「今はこうらしいですよ〜」と育児雑誌を渡してみるとか、園の先生やお医者さんがこう言っていたとか、専門家を引き合いにして、少しずつ今の育児トレンドを伝えていくといいかもしれません。
(水谷千佳)



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