子どもと衣服 1
 「お子さんの普段着を選ぶポイントは何ですか?」 私達が実施した0〜2歳対象のアンケートでは、デザイン重視で機能性はあまり重視されていないことがわかりました。しかし、子どもは好奇心の趣くままに、1日中体を動かしています。皮膚や身体を守るはずの衣服が活動の妨げになるのは、残念なことです。

 私達も、自らの子どもの衣服選びで、数々の失敗をしました。綿にポリエステル混紡の夏の肌着で汗びっしょり。かわいい!と思って買ったセーラーカラーの夏服で背中にあせもができた。同じサイズなのにメーカーによって大きさが違って着られない(事実、4歳の長男は、90センチから110センチまでの衣服を着まわしています)。など経験しなければわからないことばかりでした。

 しかし、育児書には衣服についての記述は少なく、雑誌はデザイン重視の内容ばかりです。また、いざシンプルで着心地のよさそうな衣服を選ぼうとしても、なかなかないのが現状です。「では、『子どもの気持ちで考える服選び』について考察し、提案してみよう。」というのが、「子どもと衣服」グループ立ち上げのきっかけでした。これから、順次、研究結果をお伝していきたいと思います。


 さて、今回は寒さも増してきたこの時期の衣服の着せ方についてです。

 赤ちゃんは新陳代謝が激しく、体表面積当たりの汗腺の量が多いので汗っかきです。また、1日のうちでも、遊んだり、寝たりと状況で体温も変化するので、こまめに体温調節をする必要があります。一般に、生後1〜2ヶ月を過ぎて活発に手足を動かすようになれば、大人より1枚薄着でいいと言われています。しかし、これからの季節は、赤ちゃんは寒いのではと思い、つい厚着をさせがちです。それが、かえって汗をかいて風邪をひく原因になっていることもありますので、注意が必要です。 

 まず、こまめに顔色を見たり、背中に手を入れて汗をかいていないかチェックし
て、その時々の赤ちゃんに合わせた着衣枚数に調節することが大切です。肌に触れる部分には吸汗性の高いものをつけ、汗をかいたらすぐ着替えさせましょう。外遊びで汗をかいてしまったら、上着を脱がせるより下着を脱がせれば、身体が冷えるのを防ぎます。逆に、ベビーカーなどでママだけが動いている時は、赤ちゃんは寒いですので、注意しましょう。

 次に、重ね着は、薄手のものを重ねることをおすすめします。厚手のものを少なく着るより、保温性に優れていて、調節もしやすく、動きの邪魔にもなりません。肌着(薄いやわらかいもの)→中層(保温性の高いもの)→外層(防風効果のある薄手もの)が効率のよい着衣パターンです。ベストは身体の中心部を保温しながら、手足を活発に動かすことができるので、とても重宝します。着丈がたっぷりあって背中が覆えるものを用意するといいでしょう。

 さらに、手足は末端部分で発汗機能をもっているので、覆うもの(ミトン、タイ
ツ、足つきカバーオールなど)はおすすめできません。靴下を履かせてみて自分で脱ぐようなら熱い証拠ですから、室内では裸足でいいでしょう。
 子どもは、ある程度冷たくても大丈夫なものです。

 自律神経(寒さや暑さから身体を守り、防御をつかさどる神経)を強くするためにも、できるだけ薄着をこころがけましょう。そして、なによりも今、目の前のいる赤ちゃんの様子を見て判断するように心がけて、元気に冬を過ごしたいですね。



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