子どもと化粧品
化粧品
 私たちを美しくする化粧品。お化粧をすると、外見的にきれいになるだけでなく、元気になったり、やる気が出てきたりすることもあります。大人にとっては不可欠の身だしなみともいえます。大人だけでなく、子どもだってお化粧は大好きです。ママのドレッサーのいたずらはもちろん、自分の化粧品を持っている子どもも増えています。

 そんな子どもたちのために、いま子ども用化粧品がたくさん発売されています。「簡単におちる」「肌にやさしい」化粧品や、安価なもの、キャラクターのついたもの、スキンケアからメイクアップまで、どんどん商品が増えています。特におもちゃ業界は、なかなかおもちゃが売れなくなっており、その分化粧品に力を入れているという事情もあるようです。あるメーカーの広告では幼稚園児くらいの子どもがモデルとなっており、幼稚園児も販売のターゲットになっていることが伺えます。子ども向け雑誌でも特集が組まれたり、付録として化粧品が付いてくることもあります。子どもの目にはとても魅力的に映ることでしょう。

 しかし、このような化粧品を、本当に子どもに使わせてよいのでしょうか?気になる点について考えてみましょう。

 第1に、子ども用化粧品で肌を痛める可能性はないのでしょうか。化粧品のパッケージを見ると、成分として非常に多くの物質が表記されています。その中には、アレルギーを起こす可能性や発がん性が疑われる物質も含まれています(*)。また「肌にやさしい」「アレルギーテスト済み」など、安全性を強調する化粧品でも、全ての人の肌に大丈夫なわけではありません。大人でも、敏感肌用化粧品で肌を痛める人がいますね。

 第2に、子どもの肌の特性です。10歳以下の子どもの肌は薄く、ドライスキンです。つまり、ひび割れやすく、外部からの物質の影響を受けやすいといえます。続く思春期には皮脂の分泌が盛んになり、肌が汚れやすくなるので、気をつけて肌を清潔にしておかなければなりません。いずれにしても、子どもの肌につけるものは厳しく選ばなければならないのです。

 最後に子どもの気持ちと行動です。学校に行くときにもお化粧をするようにならないか。お化粧が原因でかゆくなっても、肌の異常とわからなかったり、我慢してしまったりしないか。汚い手で取り扱って雑菌を繁殖させてしまわないか。「除光液を使わなくてもよい、はがれるマニキュア」には、「口に入れないように気をつけてください」という注意書きがありました。でも、子ども自身がお菓子を食べたり、目をこすったりするとき、そこまで注意できるでしょうか。懸念はつきません。

 以上のことを考えると、化粧品は、体と心がしっかり成長した大人にならないと、うまく使いこなせない商品だということがわかります。

 それでもなお、子どもに化粧品を使わせるのなら、大人がしっかり注意して使い方を見守らなければなりません。そして、子どもと以下のような使い方をきちんと確認しておくべきです。

お化粧する前はきれいに手や顔を洗う。
パフ、ブラシなどの道具もきれいにしておく。
化粧品を使う前には、化粧品が変質していないか大人とチェックする。(匂いや見た目が変わっていないか、など)
化粧品を使ったら、こぼれたものを拭きとって、きちんとふたをする。暑いところや日なたなどに置いておかない。(できれば大人に保管してもらう)
お化粧をしてかゆくなったり、痛くなったりしたら、すぐに大人に言う。
お化粧をしてもいいとき、我慢するときを決めて、それを守る。
お化粧をしたら、あとできちんと落とす。
一緒に使用上の注意を読む(**)。

 これらのルールは、大人がお化粧をするときに気をつけていることばかりです。もしこんなルールが面倒だ、と感じるなら、まだお子さんにはお化粧をするのは早過ぎる、と判断するべきです。

 食を始め、さまざまな化学物質について関心が高まっています。多くの化学物質を含み、直接肌につける化粧品にも、同じく厳しいまなざしを注ぎたいものです。

(*)表示指定成分として「ごくまれにアレルギー等の皮膚障害を起こすおそれのある成分」として厚生大臣が指定し、表示を義務づけていたものがあります。2001年4月以降は全ての成分が表記される制度に移行しています(全成分表示)。消費者には、それらの成分表示を商品選択に役立てるよう求められています。化粧品各社のホームページなどで調べることができます。

(**)ただし、子どもがわかるような「字の大きさ」かつ「わかりやすい内容(使い方や問合せ先)」の注意書きがない不十分な商品が多いのは、非常に問題です。



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