子ども乗せ新型自転車開発に
参加しました!

 子ども2人乗せ自転車に関するの2つの委員会に参加しておりました。 私は主婦、母親としての意見を求められました。

 主に経済産業省と「NPO自転車活用推進研究会」がかかわる「利用者ニーズに基づく自転車の開発に向けた調査検討委員会」と経済産業省、警察、「財団法人自転車産業振興協会」がかかわる「安全性に配慮した幼児2人同乗用自転車開発委員会」です。

@「利用者ニーズに基づく自転車の開発に向けた調査検討委員会」

 委員は、学識経験者や雑誌編集者、主婦サイト運営者など10人。

 私の立場から言わせていただければ、安全で、見た目も良く、スピーディで、主婦(働いていてもいなくても)の生活実態に即した便利な移送手段があれば自転車にこだわることではないのですが、都市部では自転車が圧倒的に有利。

 そこで、この委員会では実際に子どもを2人同乗している(または、直前までしていた)お母さんたちにアンケート・ヒアリング調査をしました。

 調査場所は、さいたま市、海老名市、小平市、大阪市、京都市、世田谷区、豊島区、江東区、札幌市、松山市で、約70人から丁寧に聞き取り調査を行いました。

 結果、お母さんたちの求める自転車ライフは、専用の自転車レーンがあって、自動車に脅かされないで走れることが大きな前提でした。それが難しいなら、せめて保育園や幼稚園登下園時刻には自動車が入ってこない「子育てゾーン」を設置してほしい、ということ。

 その上で、漕ぎ出しでふらつかない、押し歩きの時も取り回ししやすい、子どものほかに荷物も乗せられる、(坂道の多いところでは)電動アシストがついている、スタンドが立てやすい、ハンドルがロックできるなどいくつかの機能が重点的にピックアップされました。

 また、こういった自転車は比較的高価で場所も取るので、行政による支援やリサイクル・レンタルの仕組みも整えてほしいという意見も多く出てきました。

 一方、委員からは自転車の運転技術やマナー向上の機会も必要であるという意見が多く出されました。

 以上の点が報告書にも盛り込んであります。

A「安全性に配慮した幼児2人同乗用自転車開発委員会」

 学識経験者のほか、自転車業界、製品安全協会などが参加。メーカーに向けて公募し、実際に試作車を作ってもらいました。その結果、最終的には10あまりの自転車が出来てきました。委員向けには、2008年12月、2009年3月の2回、一般の母親達に向けては2009年3月に試乗会が開催されました。

 結果として、従来の子ども1人乗せ自転車とあまり大きく変わらない印象ですが、それは利用イメージが変わっていないため仕方が無いこと、と思います。やはり、「車道は怖いから、歩道を走る」前提になっています。

 サイズも普通自転車サイズ、小柄なお母さんでも取り回しやすく、それでいて子ども2人乗せてもバランスが良くなるように設計されています。また子ども乗せイスも、ヘッドレスト(頭を保護するもの)、3点以上のシートベルトが装備されており安全性が向上していました。

 またどの自転車も強度を増したため重く、またそれに電動つきとなるともっと重くなっています。メーカーは今後も研究開発し軽量化をすすめるということでした

 以下、試作車に対する最終的な意見を述べます。
自転車産業振興協会のプレスリリースと照らし合わせてご覧下さい。
 http://www.jbpi.or.jp/?sub_id=2&detail_id=200903-00000313

1・前輪駆動方式による幼児2人同乗用自転車(紀洋産業)

 試作車の中で最もデザインがユニークと感じました。後ろの子どもが足を揃えて乗れる、というのも面白いアイディアでした。
 しかし、運転してみたところ、ペダルが少々重く感じられました。
 また、運転姿勢が普通の自転車と若干違って重心が後ろになるように感じられました。この違いは、慣れない間、長時間運転する時に負担に感じられるかもしれません。
 荷物載せがないのも気になりました。

2・片支持・後二輪型自転車(唐沢製作所)
 チェーンが後ろ2輪の片側だけをまわす、というユニークなデザイン。しかし、そのせいかどうか分かりませんが非常にペダルが重く感じられました。またチェーンのかかっている車輪が段差などで浮いてしまうとペダルが滑ってしまうことがあります。このスリップ感は慣れないうち、非常にストレスを感じると思います。こちらも荷物載せがありませんでした。

3・WB−1(日本ロボティクス)
 前二輪のデザインで安定感がありました。前の子ども乗せイスとハンドルが独立した動きをするので、カーブでハンドルを急に切っても子どものイスが急に方向を変えるわけではないので、子どもが酔ったりしにくいかもしれないと思いました。
 一方、試作車ではハンドルが子どもの頭の位置にぶつかる構造になっており、また、駐輪するときにロックがなく、坂道では勝手に動き出してしまう危険性もありました。この点、製品化するときは改良が加えられるものと思います。また、荷物載せがありませんでした。

4・WAICA Fun2TopV−3(ジョイジャパン)
 こちらも前二輪で非常に安定感があり、しかもサスペンションが入っているので子どもの乗り心地も良いだろうと思います。ただ、ブレーキをかけたときなど、前にのめり込む(沈み込む)感じだったり、段差ではハンドルがふわふわした感じを受けます。それが気になる人もいるかもしれません。荷物載せがありませんでした。
 また、サスペンションが入っているため、修理や調節が必要な場合に近所の自転車屋さんが対応できるのかどうか、不安でもあります。

5・安全3輪自転車(寺川英太郎)
 前二輪で、逆ハの字に角度が角度がついているため、安定性と操作性を確保したようです。しかし、私にとっては運転が難しい自転車でした。曲がろうと思っても、タイヤが重くて曲がれませんでした。前に2人乗せるような設計なので、後ろが空いており、荷物が積めるのは有り難いです。

6・スカーフウインディトリオ(宮田工業)
 後ろ二輪で安定性が高く、片輪が浮いてもすべる感じがなく、荷物載せもあって使いやすいと感じました。スピードが出にくいのが物足りないと感じられるかもしれませんが、逆に安全と感じられます。
 ただ車体が多少長いので取り回しがしにくいかもしれません。また、3輪ではカーブを曲がる時に体重移動では曲がれないことに慣れるまで、多少違和感があるかもしれません。普通の駐輪ラックに収まるのかどうか、という点も気になりました。

7・かるがもスーパーグランド(ランドウォーカー)
 後ろ3輪というユニークなデザインで、すでに販売実績もある製品。非常に安定していました。
 ただ、サスペンションが入っているので、4番と同等、ふわりとした感触が気になる人もあるかもしれません。また、修理についても同じ事が言えます。荷物載せがないこと、普通の駐輪ラックに収まるのかどうか、という点も気になりました。

8・電動アシスト付き幼児2人同乗自転車(パナソニックサイクルテック)
 電動アシスト付きは漕ぎ出しが非常に楽で安定していることが実感できました。しかし、ハンドルが多少ぐらつきました。これは私の体にサイズに自転車が合っていなかったのかもしれません。また、35キロ程度の重さがあって、そのせいかカーブでハンドルが少し重く感じられます。また、駐輪のために持ち上げた時などに重さを感じるものと思われます。荷物載せがないのが気になります。

9・幼児2人同乗自転車A−223(ブリジストンサイクル)
 前後のイスが非常にしっかりしたデザインで安定感があり、漕ぎ出しもスムース。普通の自転車の乗車感とあまり変わらず、姿勢なども楽なのではないかと思います。たまたま私の体のサイズにあっていたのかもしれませんが。荷物載せがないのが気になります。

10・幼児2人同乗自転車B−263(ブリジストンサイクル)
 前のイスをハンドルにつけるタイプで、現在も多く見られるスタイル。子どもを乗せなくなれば簡単にイスがはずせて普通の自転車に変わります。車輪が大きく、体格のよい人にはピッタリですが、小柄な人には少し姿勢が変わって疲れやすいかもしれないと思いました。また、前イスと膝の空間が狭く、膝を高く上げることができません。
 前カゴが空いており、荷物が載せられます。

11・幼児2人同乗自転車C−223(ブリジストンサイクル)
 10の小径車版で、小柄な人にも安全性の高いデザイン。子どもを乗せなくなれば簡単にイスがはずせて普通の自転車に変わります。また、前イスと膝の空間が狭く、膝を高く上げることができません。
 前カゴが空いており、荷物が載せられます。

12・お子さんを2人乗せて安全に乗車出来る二輪自転車(オーアンドエム)
 レバー操作で前輪が後ろにまわらないようにできる、画期的な装置がついています。これは、停車時ハンドルがグラついて大きく切れると後ろに下がってしまい、支えきれず転倒する事例があったため、それを防止する目的で開発されたということです。この装置はできればどの自転車にもつけてほしい安全装置だと思いました。
 使用感も普通の自転車とあまり変わらず、運転しやすいと感じました。ただ、荷物載せがないのが気になります。

13・ふらっか〜ずカーゴ(丸石サイクル)
 普通の自転車にかなり近い使用感で、安定性、漕ぎ出しの軽さも感じられました。自分の体のサイズに一番あっていたのかもしれません。前の車輪と後ろの車輪の大きさ、後ろイスの位置がかなり低めになっていることなどいろいろな改良が重なって、結果として全体の快適さに結びついているように感じました。前の子ども乗せイスが大きく、荷物も乗せられるかもしれないと思います。

14・20/22 LT−01(ホダカ)
 普通の自転車に近い使用感。ハンドルが多少ブレましたが、気になるほどではありませんでした。前輪と後輪の大きさ比に工夫が感じられました。また、ペダルが軽く感じられました。荷物載せが無いのが気になります。

         

 メーカーのみなさんはとても熱心で、今後も快適で安全な子ども移送用新型自転車の開発に取り組んでいただけると思うと、心強いです。

 今後は警察と協議しながら運用規則を変えつつ、安全性の確かめられた自転車から「子ども2人乗せ可能」と認めていくようです。ただ、早くても夏ごろになってしまいそうですが。

 今乗っている自転車は?というと、これも今まで通り認めていきますが、新しく購入する場合は「2人乗せ用」を買ってもらうことになるそうです。また、お子さんにはヘルメット着用を、という啓発活動は強化するものと思われます。

 今後はまちの自転車屋さんの協力も得ながら、自転車試乗会などがご近所でひんぱんに開かれるようになれば、自分の体格・体力・ライフスタイルにあった自転車を見つけやすいと思います。

 また、大人向けの自転車講習会を開催していくことで、運転技術向上、交通ルールやマナーの啓発活動ができるのではないでしょうか。
(荒砥悦子)



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