見守りボランティアを続けています

 1年半前に、小学校に男の声で不審電話がかかりました。その時に結成されたPTA&地域による安全見守りボランティアに参加しています。交代制で継続しながらどうしたら子どもを守れるか、を私なりに考えてきました。
 昨今の子どもの誘拐事件を、性的犯罪と限定するのは、確実でない以上避けたほうが良いかと思います。ただ、きっと子どもへの性的偏向や快楽殺人などの衝動を掻き立てられ抑えられなくなっている人が増えているのは事実なのでしょう。

 1)現在のそのような人から子どもをどう守るのか
 2)予備軍を抑えられる方法は無いのか
 3)将来の犯罪者を生まない教育とは


の3段構えでの対策が必要かと思います。

1)すでに強い衝動を抱えている人から守るには・・・
 ボランティアを組んで毎朝交代で校門や通学路に立ち、部活の帰りの時間(5時過ぎ)には分かれ道まで迎えに行くことを続けています。子どもに会えば挨拶をして声をかけます。
先生は「一人で帰らないように」と帰りの会や部活後に子どもを送り出しますが、最後まで同じ家に帰る子はいないのですから、どこかで1人になってしまいます。
 1年半の見守りとお迎えを通じて思ったのは
「学校に下校時の安全を求めるのは、ムリである」
「下校時、下校後の子どもの安全はその家の保護者が守るしかない」
「保護者が対応できない部分は子どもの判断力を育てるしかない」
ということです。地域の方には、登校時に道路掃除や水撒き、ゴミ捨ての時間を合わせ、下校時に犬の散歩や買い物を合わせていただくようお願いをしています。しかし、学区は広くボランティアは地域に点在。地域全体としての防犯力には限界を感じています。

 一方、声をかけても挨拶もしない子どももあり、嘆かわしく感じることもしばしばです。家庭によって安全に対する感覚の温度差は大きく、とても埋められるものではありません。お金をかけてでも警備を強化し、子どもの安全を、と思う家庭もあれば全く無関心、”ボランティアは好きな方の集まり”ぐらいに感じている保護者もあり、空しいと感じることも多いのが現状です。

でも、限界と感じても地道に続けるしかないのでしょう。
子ども達自身が「危ない場所」を見分ける力も必要でしょう。

2)予備軍を行動に移させない抑止力
正直、対策はわかりません。
厳罰化は一定の抑止力にはなると思いますが、すべてを解決するとは思えません。犯罪歴のある人が社会に出るときのフォローも手薄であると思います。
快楽殺人、騒がれたい予備軍にはどうすればよいのでしょう。ただ感じるのは、細かい報道が犯罪を招いているのでは、ということです。過度な情報は害のほうが多いと思います。

3)犯罪者を作らない教育
 すべてが、とはいえませんが、やはりゲームの弊害が大きいのではと思います。
暴力的、友達との協力が苦手な子は、ゲームの時間が長い子が多いと感じます。
11月の中旬に東京ドームシティ(昔の後楽園)に行きました。
偶然「コスプレイベント」の日で、年齢・性別不詳のコスプレ軍団に会い、異様な雰囲気に圧倒されました。サーベルやライフルをかついでいる人も多く見かけました。バーチャルと現実との区別のつかなくなった世界に浸るのは命の軽視につながらないのか気になりました。テレビでも子ども向けのアニメでもかなりの暴力シーンがでてきますよね。生身だったら死ぬであろう程度のものがいくどもいくども・・・。これを見続ける子どもの心はどんな影響を受けるのでしょう。そしてこのコスプレ軍団にポーズをとらせ写真をとりまくる大人の男性達にも異質なものを感じました。

 保護者、特に母親にかかる負担と、安全ボランティアの限界。子どもの安全を議論するとき、父親不在が多いことが気になります。特定の人たちに負担がかかるやり方は続きません。私の地域では携帯電話への不審者情報配信も行政主導で始まりました。長く続けていかれる方法、情報過多や時間に慣れてしまわない意識、子どもへの訓練と教育、温度差のある家庭同士や地域との連携、課題は山積です。
今は地道にできることをしていくことだと自分に言い聞かせています。
(薮田 朋子)



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