子どもが救急外来にかかった時
の出来事

 それは突然のことでした。
金曜日の夕方、中2の息子が「お腹が痛い」と言ってコタツに入ったまま身動きが取れなくなりました。
 どの医療施設からも断られながらもなんとか夜間診療所で教えてもらった隣町の救急外来へ「盲腸かもしれないのです」と必死に電話で粘って交渉し、ようやく了解を得て20時頃ようやく息子を連れて行きました。

 夜間の救急外来は、それは慌ただしいところでした。
それでも何とか診てもらえるので「もう大丈夫だよ」と自分と息子に言い聞かせながら、廊下の椅子にかけて待っている間にも何台も救急車が出入りし、急患が運ばれていきました。
 医師は一人しかいないらしく、待ち時間も長かったのですが、丁寧に問診・診察の後、精密検査をしてもらいました。

 検査結果を待っている間、廊下の待合では様々なドラマがありました。
私のそばで点滴を受けながら救急隊員と話す高齢のご婦人はおそらく一人暮らしなのでしょう「先生に診てもらえただけで治った気がする」と満足げでした。
 落ち着いてきた息子と静かに話していた時、突然息子の隣りにいた家族を訪ねてきた若い女性が大きな声で泣きだしました。
 様子からその女性のおばあちゃんが亡くなったことがわかりました。
その後も続々と駆けつけてくるお孫さん達が悲しんでいる様子を見て、息子もいろいろ感じたことがあったようです。
 ここ数年反抗期で扱いが難しかった息子もその時ばかりはハッとし、黙って見守っていました。
 結果的に息子は盲腸と判明。
 身長が170cm以上あっても14歳は“小児科”扱いとのことで、その病院では手術ができず、そこから救急車でさらに30分以上離れた病院へ搬送され、翌日緊急手術をしたのでした。

 その後、息子はこれまでの反抗的な態度が和らぎ、笑顔も見せてずいぶん穏やかになりました。
 救急外来での経験が命の尊さを感じ取らせたのかもしれません。
姉からは、私が必死に病院を探しまわった様子を見ていたのも影響しているのではないか、と言われました。

 大変な経験をしましたが、何か得たものもあったように感じた出来事でした。
(ねっしー)



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