「脱・個食」は離乳食から・2
〜好き嫌いって?!〜

 2、3歳の子をもつママから、「ウチの子は肉が嫌い」という声をよく聞きます。調理の仕方や素材にもよりますが、肉はかみづらい、飲み込みづらいという理由もあると思われます。「嫌い」というよりも「食べづらい」と表現した方がいいのかもしれません。4、5歳、小学生と年齢があがるにつれて肉好きの子どもが増えるのは、そしゃく能力が発達していくからということに加えて、肉の持つ独特の旨みを覚えていくからでしょう。

 そしゃくする力や味覚の発達は、離乳食の頃には発達の途中です。乳幼児が本能的に避けている食べ物を“好き嫌い”と大人が勝手に思い込んでいる場合も少なくないと思います。
 人間には生まれながらにして好む味があります。甘み・塩味は人間が生きていく上で必要な糖分やナトリウムの味です。一方、生まれながらにして嫌う味は、腐った味である酸味、毒の味を指すにがみなどです。乳幼児が、にがみなど強い味のある野菜を嫌うことが多いのは、動物的な本能でもあるのです。
 この酸味・にがみ・渋味・えぐ味などは少しずつ、少しずつ覚えていけばいいのです。この時、無理強いは避けたいものです。精神的に不快な記憶が印象づけられると子どもが味覚を覚える前に、“嫌い”と思い込んでしまうからです。
 
 食卓の上で考えてみましょう。“離乳食”を大人とは別メニューで準備すると、手間が大変なだけではありません。一生懸命に作ったからには全部食べてほしい、とすら思ってしまいます。赤ちゃんの食がすすまないと、“残った量”に目がいき、食べる量を気にしすぎる結果にもなります。
 
 一方、大人からの取り分けで食事をすすめていくと、“食べられるもの”を食べていくことになります。“赤ちゃんが食べている姿”に目がいき、ほほえんでいられます。大人と赤ちゃんの食事の垣根がないので、赤ちゃんは、いつでも、何度でも手をのばすことができます。そしゃくなどの能力や味覚の発達に合わせて、行きつ戻りつしながら、ゆっくりとすすめていくことができるのです。
 
 乳幼児期は、何につけても個人差が多い時期、それだけに、焦りや他の子との比較は避けたいものです。乳幼児期の“好き嫌いのようなもの”は“好き嫌い”と決めつけないことです。もともとは知らなかった味、その味覚に少しずつ慣れながら広げていく時期なのです。苦手なものを無理強いしない、しかし、遠ざけないことも大切です。そのためにも、赤ちゃんの時期から、個食を避けるよう意識したいものです。同じものを家族一緒に同じ食卓でいただくことができると、知らず知らずのうちに、“食わず嫌い”や“苦手なもの”も減ることでしょう。
(岡本悠紀)



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