救われた一声
−誰でもできる子育て支援−
 

 歩道で寝転がって泣き叫んでいるわが子・・・・『言い出したら聞かないものね。仕方ないわ。今、この子は眠いし、何を言っても耳には入らないよね。私、わかってるのよ。落ち着くまで待てばおさまるわ。そのうち寝てしまうかも・・・・でも、そうはいっても、待ち合わせの時間はとっくに過ぎてる・・・。通りすがりの方々にも迷惑になるし・・・。』私がイライラしはじめているのが伝わるからか、余計に泣き叫ぶ我が子に、泣きたくなるのは私!と叫びたくもなる。一般的にも、よく見る光景の一つ。

 つい最近も、久しぶりに息子のジタバタがありました。どんな代替案をもちかけても、聞き入れないどころか、聞こえないほどの声を張り上げて泣き叫ぶのです。その時です。通りすがりの方々が、いろんな声をかけてくれるのです。「ぼうず、どうした?」というおじさんの明るい一言で、息子の泣き声は、ちょっとひるみました。「お母さん、大変ね。頑張ってね。」とやさしいまなざしを向けてくれたおばさんもいました。「ほらほら、お兄ちゃんもお母さんも背中の赤ちゃんも・・・ずぶぬれよ」と私たち親子3人に傘をさしてくれてくれた方もいました。一言ずつとはいえ、通りすがりの人たちに声をかけられていくうちに、さすがの息子も、平静を取り戻しました。そして、ケロリとして、傘をさし、歩き出しました。名前も知らない通りすがりの人たち、でも、その方々のあたたかいまなざしや、一声は、私と息子の心をときほぐしてくれました。

 電車の中で、スーパーマーケットで、公園で、子ども達は予想外の行動に出ます。公共の場、他の方々に迷惑をかけまいとするあわてた母親の態度が、余計に子どもの心をさかなでするのでしょうか。こんな時、あなたの一言が親子を救ってくれます。「余計なおせっかいかしら・・・」なんて迷いは無用です。勇気をもって、声をかけてみてください。周囲の冷たい視線やささやかれる陰口ほどつらいものはありませんから。
(岡本 悠紀)



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