お天気ママのちょっと一言
ファストフィッシュ

  スーパーの鮮魚コーナーに置いてある氷漬けのサンマと背中合わせの陳列棚に、「骨抜きさんま」のパッケージを見かけました。けっこう売れ行きがよいのだとか。

 水産庁の調査によると、ここ10年で魚の消費量が25%も減ったそうです。アンケートでは「もっと魚を食べたほうがいいと思っている」人は多いもの、「家族が好まない」「調理に手間がかかる」などの理由で魚が敬遠されているもよう。そこで水産庁は、サカナをもっと手軽に気軽に食べてもらおうと、あらかじめ骨を取り除いたり、電子レンジだけで調理できるよう加工した商品をファストフードならぬ「ファストフィッシュ」と名付け、消費拡大を提唱しています。

 でも、「簡単、便利」「手軽にDHAやEPA、カルシウムが摂れる」ことはほんとうに望ましいことなのでしょうか?

 水揚げは国内でも、骨なし魚の一部はタイやブラジル・中国等の人件費の安い国にいったん運び、人海戦術で骨を取り除いた後、接着剤で元の形に戻して日本で流通させたものです。フェアトレードに反しているばかりか、輸送にエネルギーを消費するためフードマイレージは大きくなり、プラスチック製容器包装の使用は増えます。異物混入や食中毒のリスクも出てくるし、それを未然防止するには衛生管理などのコストもかかるでしょう。

 そして何より、「魚の国」の子どもたちが魚の調理法も食べ方も知らずに育つんじゃないかと心配です。そのうち、「魚を食べたら、骨があった!」なんて笑い話みたいなクレームが生まれるかも。

 わが家は転勤族で、新潟で生まれ、石川、北海道で育った子どもたちの大好物は鮭にサンマにホッケなどの魚料理。幼稚園くらいの時でも、食べ方を教えれば、アユなど小骨の多い川魚もじょうずに食べていました。「肉も好きだけど、やっぱり魚が季節感もあって飽きない」と言っています。

 ファストフィッシュで食わずぎらいを卒業し、魚をあまり食べたことのない子どもたちが魚のおいしさを知るきっかけになればいいですね。
(お天気ママ)



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