給食のパンにカビ!
−大人たちへ提言−
 
 我が家の子どもたちは、市立中学校と市立小学校に通っています。地区の市立中学校、市立小学校、市立幼稚園には隣接市の業者からパンが納入されています。
 平成18年9月5日のこと、給食のパンにカビが生えていました。カビに気づいて緊急の放送がされるまで、すでに食事がはじまっていた学校もあり、気づかずに食べてしまった子どももいました。代替のパンが午後3時ごろ配られ、その日のうちに行政の給食担当部署から最初の手紙が配布されました。
 その後、納入業者の変更、謝罪の菓子提供の報告がありましたが、原因究明結果の報告が遅く、気になったのでこちらから問い合わせをしました。その回答のあとに保護者宛てに同内容の報告の手紙が配布され、10月17日この件は収束を迎えました。

〔行政からの配布手紙詳細と保護者としての感想はこちら〕

 今回の一件を通して、いくつかの視点からの感想と提言です。

=消費者教育の面から=
消費者教育の題材としては適材だったにもかかわらず、学校ではほとんど扱われなかったのがとても残念だった。
生徒への的確な説明がないまま、謝罪の菓子提供で締めくくられた子どもたちへの対応を指摘する教員はいなかったのだろうか。
納入業者、行政、学校、それぞれの組織での責任と問題点、事故が起きた場合の対処について、一消費者として監視する立場にあることなど、生徒の学年にあった教育がなされるべきだったと思う。

=理科教育の面から=
カビを題材に、身の回りの科学に触れるチャンスだった。中学生の息子のクラスでも解説はなかったとのこと。

=食教育の面から=
学校給食で扱う食材は、地元の業者によって、できるだけ地元で採れたものを使うのは周知であり誇りに思っていた。防カビ剤などの添加物が入っていない点は大きなメリットといえるが、ゆえに今回のような事故もありうるという選択肢の見極め、市販品と給食パンとの違いを学習するきっかけになったはず。
カビの危険性と回避するためのコストのバランスを考えるきっかけだったはず。

=行政対応について=
学校で配布される手紙にも電話番号などの問い合わせ先が記されていなかった点、市のホームページでも担当課のメールアイコンが抜けていた点など、非積極的な姿勢が目立った。
今回の一件について、行政から小学生向け、中学生向けの資料が作成され説明されるべきだ。
担当部署は今回の事件での対応に追われている時期だったにもかかわらず、メール回答は迅速で記名もあり誠意が感じられた。
行政や学校が連携して合理的な対応ができないものか。

=保護者行動について=
不安に思ったのは、私がメールで問い合わせした項目とほぼ同じ内容で手紙が配布された点。他の保護者からの問い合わせはなかったのだろうか。

 消費者教育も食教育も、普段の生活の視点で正しいものを見極める習慣を、大人から子どもへ伝えることだと思うのです。私は、今回の一件では、カビの危険云々ではなく、大人らしい誠意のある行動を考えさせられました。子どもたちは見ています。行政も、学校も、企業も、親も、子どもを守り育てるという立場にあることを、いつも自覚していたいものです。
(工藤美奈子)



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